【2024年女性アイドル界振り返り】メタ曲の流行とSNSの影響力。K-POPに負けない戦略とは?

日本の女性アイドルの最大の魅力って何だと思いますか?

 

K-POPに押されがちな日本女性アイドル界。
2024年12月31日の『第75回NHK紅白歌合戦』の女性アイドルグループ枠は、半分がK-POPグループ。
  • K-POP:TWICE、ILLIT、LE SSERAFIM、ME:I
  • 日本:乃木坂46、櫻坂46
「本当に日本の公共放送なのか?」と揶揄されるほど、K-POPグループの勢力が増している。今年絶頂だったFRUITS ZIPPERでさえ出場を逃した。

 

日本のアイドルたちはK-Popに負けてしまうのか?
K-Popに負けないためにするべき事は何か?

 

2024年の日本女性アイドル界隈を振り返ってみる

2024年 アイドル界隈の主なできごと

  • 4月30日 柏木由紀がグループを卒業。
  • 5月11日・12日 – 乃木坂46 山下美月 卒業コンサート(東京ドーム)
  • 5月18日 – 5月19日 『FRUITS ZIPPER 2nd ANNIVERSARY 超めでたいライブ〜NEW KAWAII〜』を日本武道館で開催。
  • 8月2日(金) 〜 4日(日) TOKYO IDOL FESTIVAL 2024(195組 1,306名のアイドルが参戦)
  • 12月8日 – AKB48劇場リニューアルオープン
  • 12月30日 – 第13回アイドル楽曲大賞2024発表
  • 12月31日 – 第75回NHK紅白歌合戦 日本女性アイドルグループでは乃木坂46(10回)、櫻坂46(2年連続)が出演。
  • 12月31日 –第8回 ももいろ歌合戦 ~愛の大晦日〜

 

著名アイドルたちの卒業

2024年も長年グループで活躍したメンバーが卒業していった。
  • 岡部麟、本田仁美(AKB48)
  • 小越春花(NGT48)
  • 齊藤京子、高本彩花、加藤史帆、東村芽依、丹生明里、濱岸ひより(日向坂46)
  • 山下美月(乃木坂46)
など、グループのエース級の去るのはいつみても寂しい。
そして、なんといってもAKB歴代最長17年のAKB48 3期生の柏木由紀
4月30日にグループを卒業した。

若い頃はグループのエースメンバーで、王道的アイドル像を魅せてくれた。
ベテランになってからは、人気が落ちたといわれるAKBのアイコン的立場で奮闘。
後輩メンバーとグループの認知を少しでも広げようとする姿が記憶に残る。
近年、 30代のアイドルが珍しくなくなった。その例えで出てくるお手本アイドルは、たいてい彼女だ。
「アイドルは20代前半までの女の子がやるもの」という定説を覆す生き証人。

 

女性アイドル界は柏木由紀がいた時代と、それ以降に分かれると言われるかもしれない。
それほど、日本のアイドル界にとって羅針盤のような存在だった。

 

KAWAII LAB.を中心にまわっていた

KAWAII LAB.(カワイイラボ)が 2024年の女性アイドル界の顔といってもいいだろう。
運営するアソビシステムは、2023年には新しい学校のリーダーズを紅白歌合戦に出場させた。

 

なんといってもFRUITS ZIPPERの躍進が目覚ましい。
「わたしの一番かわいいところ」がTikTokで15億回再生されるスーパーバズに。
デビュー2年で日本武道館ワンマンを成功させた。日本で知らない人はいないくらいのトップグループになった。

 

同事務所から今年8月誕生したCUTIE STREETもデビュー曲「かわいいだけじゃだめですか?」を即座に流行らせ、 すでに中堅どころのアイドルグループよりも人気がある。

バイラルヒットを連発するKAWAII LAB.。
その秘訣はどこにあるのか?
様々な要因があるだろうけど、 以下の2つがポイントになっていると感じる。
  1. 楽曲の良さ
  2. SNSの発信力

アイドルのメタ曲の流行

歌もダンスも完成されたものが求められるK-Popと違って、 日本の女性アイドルはそこまで スキルを求められない。
「ステージに向かって頑張る姿や、 挫折から這い上がる女の子を応援したい」という推し文化が根強い。
近年のオーディション番組の人気がそれを物語っている。
歌がめちゃくちゃ上手い子よりも、必死にアピールしようともがく子がみたい・応援したい。

 

しかし、2024年で人気を得たグループを検証すると、「楽曲の良さ・世間のウケ」が大きなポイントになってきている。
今年のアイドル界はメタ曲が流行った。
  • 『わたしの一番かわいいところ』FRUITS ZIPPER
  • 『絶対アイドル辞めないで』=LOVE
  • 『アイドルライフブースターパック』iLiFE!
  • 『なんてったってAKB48』AKB48
メタとはつまり、アイドル自身が「アイドルとオタクのことを」を歌うことだ。
自虐ネタといってもいい。
過去の事例を紐解けば、小泉今日子の「なんてったってアイドル」など、過去にもアイドルをメタ的に捉えた楽曲が存在していた。

 

なぜ今、メタ曲が流行ったのか?
2023年4月にYOASOBIの楽曲「アイドル」がヒットしたことが起因だろうか。
アニメ「推しの子」の主題歌として大ヒットを記録した楽曲であり、アイドルという存在をメタ的に捉えた歌詞が特徴的。
〈無敵の笑顔で荒らすメディア/知りたいその秘密ミステリアス〉や、
〈弱いとこなんて見せちゃダメダメ/知りたくないとこは見せずに/唯一無二じゃなくちゃイヤイヤ/それこそ本物のアイ〉
といった歌詞は、アイドルが持つ二面性や葛藤を鮮やかに描き出している。
それもあるが 日本の女性アイドルの 性質が関係していると思う。
それは「未熟(影)から成長(光)する物語」というもの。
アイドル自身やオタクのあるあるを書いた歌詞に、光と影が感じやすいのだ。自分事として共感するのだ。

 

デビューから完璧を求められるK-POPだったらまず流行らないはず。
ハイレベルで当たり前の「光」しかないから。

 

パフォーマンススキルよりも、成長過程がファンの心をつかむ。
「未熟さから生まれるメタ曲」は、歌唱スキルやダンススキルではかなわない日本勢が、K-Popに対抗する武器になるかもしれない。

 

SNSの影響力はテレビを超えてきた

FRUITS ZIPPERの成功はSNSの戦略の成功があった。
今のアイドル運営でSNSの活用は当たり前だ。しかし、 大ブームを引き起こすほどアカウント運用がうまかった。
  • 2024東京都知事選
  • 2024兵庫県知事選挙
  • 2024アメリカ大統領選挙
などの選挙でも、SNSの影響力が大きな話題になり、テレビなどのメデイアを超えたと言われる。

 

アイドル事務所のSNS運用は基本事務所のスタッフが行っている。
これからはプロのSNS運用代行会社に依頼することが増そうだ。
それほどSNSの戦略がグループの人気の要因になっている。

 

SNSのアルゴリズムを理解すれば、ファンの「推したいアルゴリズム」が動き出す。

 

しかし、TikTokのバズ狙いはレッドオーシャン化している。
どのグループもアイドルも狙いにいって団子状態だ。

 

そこでポイントになるのが生成AIだ。

 

生成AIの進化でますます加速するSNSの影響力

ChatGPT・Copilot・Geminiなどの生成AI(ジェネレーティブAI)を使いこなし、バズらせたグループがチャンスを掴むだろう。

 

生成AIが楽曲を作ったり、作詞をしたりするようになった。
演奏もできるし、バーチャルアイドルもこの先増えていくだろう。
以下の動画は、地下アイドルグループ「仮面女子」メンバーが書いた絵から、AI(人工知能)がイメージを汲み取って作詞した曲。
作成者にも『作詞:AI(人工知能)』とある。

 

またアイドル自身も活動に利用する機会もある。
Xにて、ファンへの返信ツイートをAIにかかせたアイドルがいて話題になった。

 

AI技術の進化は凄まじく、本当になんでもできてしまう。

 

しかし、その完璧さゆえに「未熟さ」は出せない。
日本のアイドルたちがもつ甘い夢のような未成熟さは、K-POPにも人工知能にも真似できない。

 

「推し活の真髄がAIにわかってたまるか」
という気持ちで、2025年の女性アイドルたちの戦う姿を見守っていきたい。